そして完全にサステナブルな企業にはなれないかもしれません。それでも、努力を続けることに変わりはありません。
Taylor Guitarsは、これまで着実に前進してきました。ギターの製造方法や木材の調達先、廃棄物の削減方法などを根本から見直してきたのです。しかし、私たちはまだ目標に到達したわけではありませんし、おそらく完全に到達する日は来ないでしょう。これは決して悲観的な考えではありません。サステナビリティとは、到達すべきゴールではなく、進むべき方向なのです。それは、責任を持って取り組み続けるという決意であり、昨日よりも今日、より良い選択をしようとする姿勢です。
1974年にBob TaylorとKurt ListugがTaylor Guitarsを創業した当時、サステナビリティについて特に意識していたわけではありません。当時は、まだほとんどの人がそうした考えを持っていませんでした。サステナビリティという概念は、企業の経営会議やニュースの見出し、経営理念に登場するようなものではなかったのです。
当時、木材の調達といえば、世界中を飛び回って人里離れた森林を視察することではなく、地元の材木店まで車を走らせることでした。今よりもずっとシンプルな時代でしたが、その考え方には長期的な視点が欠けていました。木を生態系の一部ではなく、単なる資材として捉えられていたのです。その頃問われていたのは、「この木を伐採すべきか?」ではなく、「いかに早く製品に加工できるか?」ということでした。
今、私たちはそれが間違いだったと気付いています。

ほかの多くの産業と同様に、私たちの業界も、繊細な生態系、複雑なグローバルサプライチェーン、そして限りある天然資源に依存しています。私たちが製造するギターの木材は、失われつつある森林からも調達されています。そして、その森林生態系を守るためには、環境に配慮をした木材調達だけでは不十分です。もはやサステナビリティは、単なる崇高な目標ではなく、企業として果たすべき最低限の責任なのです。
私たちは、完璧であるとは言えません。私たちがお約束するのは、責任をしっかりと認識し、果たすことです。
だからこそ、ギターの製造方法、使用する素材、そして未来に何を残すのかを、いま根本から見直しています。残された時間が限られている中で、ギターを作り続けるために何が必要なのか。その現実に、私たちがどのように向き合っているのかをご紹介します。
失われた森林の再生
森林は単なる資源ではありません。そこには歴史があり、文化があり、未来があります。だからこそ、私たちは考え方を転換し、木材を利用するだけでなく、森林を再生することに力を注いでいます。
We’re カメルーンでは、エボニー・プロジェクトを通じて数千本ものエボニーの植樹を進めています。ハワイでは、在来種であるコアの森を再生するため、Siglo Tonewoodsを共同設立しました。また、カリフォルニアでは、本来ならチップ化されたり焼却されたりする都市木を、新たな用途で活用する取り組みを支援しています。
こうした活動は、聞こえの良いプレスリリースだけで伝わるほど単純なことではありません。だからこそ、意味があるのです。
資材の廃棄は減らし、価値は増やす
創業当初、効率化の目的はコストを削減することでした。しかし今では、木材やエネルギー、天然資源を無駄にしないことが最重要になっています。
私たちはネックの設計を見直し、より少ない木から、より多くの木材を有効活用できるようにしました。また、かつてはルックスが「美しくない」という理由だけで、音の特性に違いがないにもかかわらず、利用されずに朽ち果てていた色むらのあるエボニーも積極的に採用しています。さらに、これらの端材をスライドバーやハンガー、カッティングボードなどにも生まれ変わらせています。
こうした取り組みは、流行を追いかけているからではありません。見た目の美しさだけを追求して木材を無駄にすることは、守るべき楽器業界の伝統ではないと考えているからです。
塗装工程もすらも進化させています。環境負荷の少ない塗料の採用、塗装方法の改善、排出物の削減など、さまざまな見直しを進めてきました。製造工程の一つひとつが環境に重い影響を及ぼすからこそ、私たちはその負荷をできる限り軽くすることを目指しています。

